重鎮と泰斗 そして使命 [本]
改憲派の重鎮 小林節氏と護憲派の泰斗 樋口陽一氏の対談集
「憲法改正」の真実 なんとか読み終わりました。本の帯にも書いてあるように、小林氏は「自民党案なら日本は先進国の資格を失い」樋口氏は「国家の根幹が破壊されてしまう」という強い恐れからこの対談が組み立てられています。
折り返しをいくつもつけながら読んだ中でも、最もお二人が言わねばならないと思っているであろう部分、普通の人でも分かるように仰っている部分は、224頁ですね。
「 樋口 (中略)欧米をはじめとする近代立憲主義国家と価値観を共有する道から日本は引き返し、東アジア型の権威主義、専制主義の国家に向かうのだ-。これは近代国家の否定です。私たちが考える普通の国の原則を捨て去るということです。こんな思想を持つ人々が、現在の日本の権力の中枢にいるのです。
小林 目指すところは、独裁国家、北朝鮮。こう言うと、冗談のようにしか聞こえませんが、専門家の知見として、そうだとしか言いようがないことは、第二章から第七章までで詳細に明らかにしたとおりです。つまり、
①主権者・国民が権力担当者を縛るためにある憲法で、逆に、権力者が国民大衆を縛ろうとする。
②各人の個性を尊重することこそが人権の本質であるが、それを否定して、国民すべてを無個性な「人」に統一しようとする。
③海外派兵の根拠を憲法条文の中に新設し、その実施条件を国会の多数決に委ねてしまう。
④国旗・国歌に対する敬譲や家族の互助といった本来、道徳の領域に属する事柄を憲法で規定する。
まさに、皇帝と貴族が支配する家父長制国家です。
222頁に戻りますが、小林氏は「現在は幸いまだ『投票箱』が機能しています。反故にされた憲法を奪還するためのこの闘いにおいては、言葉という武器が有効です。その言葉を用意するのが、この局面での憲法学者の使命でしょう。樋口先生とのこの議論も、そうした使命を果たすためにはじまりました。」と言います。
詳しくはぜひこの本を手にとってご自分でご確認ください。ぜひ読んでいただきたい、1冊です。
無私の心で使命感を持って語る言葉に耳を傾けてください。
雨粒が思わぬ情景を作るように、透けて見えるものがあります。
どの書も憲法を考えていく上で
参考になりそうです。
早速、読んでみます。
by ファルコ84 (2016-05-11 14:35)
お二人がおっしゃって言い当てているところ
もっとも懸念しているところですが、高名な方がおっしゃる重み
ひしひしと感じます
恐ろしい国になりますよ。このままいくと・・・・・
by majyo (2016-05-11 18:45)
ファルコ84さん お読みください!そして拡散させましょう!
majyoさん 重み、確かにその通りですね。一般人が言うことと高名な方が言われることと、たとえ同じことを言っても重みが違います。 いっぱい引用させてもらわねば^^
by gonntan (2016-05-11 19:44)
広く皆様に読んでいただきたい本ですねぇ
私は和尚様のブックレポートで、早、読んだ気になってしまったけれど・・・
本の一番いいところを教えていただけるって、ありがたいことですねぇ
by momotaro (2016-05-15 01:11)