糧 [人]
日蓮宗の宗報12月号p128 (現代宗教研究所所長 三原正資師著)からの孫引きです。
ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』創刊号「内田樹先生in周防大島 街場の農業論~序」に次のように掲載されているそうです。
【 農業は「里山という生産環境を定常的に維持する」ためのものです。あくまで最終目的は自然の生産力、繁殖力の定常的な維持であって、右肩上がりに収益を増やすことではない。でも、いま日本で進められているのは、農業の企業化です。(略)けれども、問題はそもそも農作物は商品ではないということです。農作物は潤沢に市場に供給されているときはあたかも商品であるかのように仮象します。他の商品、洋服やパソコンと同じようなものに見える。けれども、供給量が減少して、それがあるラインを超えた時点で農作物は商品性を失います。それは「商品」ではなく、「糧」になる。それなしでは人間が生きてゆけないものになる。 】
TPPを推進する今の政府に、このような透徹した農業理解はあるのでしょうか? すべて金で解決できると思い込んでる風の政治家たちに。
福島で多発している小児甲状腺がん、放射能汚染の影響で植物に奇形が出ていると推察できる事実を直視しない厚労省や環境省の官僚たちに。
ひたすら生きていく。我が命を生き抜くことがすべての人に叶いますように。
2015-12-23 22:47
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コメント(4)
里山農業を10年近く見てきた私は
この言葉がなんとなくわかるような気がします
商品ではなく糧である
そこにはお金だけではない、
大地への畏敬の念が無くてはならないのだと思うのです。
そこが工業品とは違いますね
by majyo (2015-12-24 08:07)
majyoさん 企業化の目的は儲けがあるかどうかで、無ければ撤退の二者択一です。企業化のために投資や債券化の対象にもなるでしょう。そうなると、国土の荒廃にいっそうの拍車がかかるのではないですか?
by gonntan (2015-12-24 09:03)
糧、身にしみる語です。
農産物は商品としか
思いませんでしたが
確かに供給量が少なくなった時には
最早、商品ではないのかも!
命をつなぐ物なんですね。
by ファルコ84 (2015-12-24 21:38)
「人の糧」ということが解っているか?
という戒めですね。
(暮も正月もない生活で、ご訪問が遅くなりました)
by momotaro (2016-01-03 11:46)